木象嵌の技法

立体木象嵌オオイチモンジ | 福田 亨氏(木象嵌を立体彫刻へ応用した「立体木象嵌」考案)

 

木象嵌(もくぞうがん)は色々な天然の木材を使用して、絵画や図柄を表わす木画技術です。この技術は小田原や箱根地方において、明治中期頃に新しく開発された糸鋸機械にミシン鋸を着装し、台板に画いた模様にそって挽き抜いていき、同型に挽き抜いた模様材をはめこんで、絵画や図案を作成する技法です。

 

こうして完成したものは種板と呼ばれ、特殊な大鉋で薄く削って製品にしていくものであり、この技術は世界的に例のない伝統工芸技術として非常に貴重なものです。その製作技法はだいたい三種類に分けることが出来ます。

 

「彫刻象嵌」は、日本においては正倉院御物などにおいて多く見られる手法であり、ノミや小刀を用い図案を彫りこみ、これに合せて異種材を同型に加工し、彫りこんだところへ埋めこむ技法です。一品的又は大作の加工技法として伝承されてきましたが、現在では東南アジア諸国の作品に見られるようです。

 

「重ね式象嵌」は、一般的な技法であり、各種使用材をおよそ1cm位の厚さに揃え、台板になる材の上に模様となる材を重ね仮止めし、模様を画き2枚重ねたままミシン鋸で鋸断し、模様材を下部台板にはめこむ技法です。

 

「挽き抜き象嵌」は、はめこむ材に所要の図案を画きミシン鋸で鋸断した後、台板になる材へ挽き抜いた模様材の輪廓を写しとり、これをミシン鋸で挽抜き、模様材をはめこんで作成する技法です。

 

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